オンラインゲーム・リアルタイム通信検証

2015/10/02

■プロジェクト名

オンラインゲーム・リアルタイム通信検証

 

プロジェクト期間

2015年10月~2016年3月

 

■プロジェクト概要

オンラインゲームを対象に、通信モデルの検討、低遅延なデータ送受信プロトコルの検証を行い、必要によりプロトコルおよび通信エンジンの開発や実証実験を行う。

 

■活動背景

インターネット、およびモバイルの発展により、1990年代ごろからゲームのオンライン化が進み、遊戯形態の多人数化、多様化が進んできた。オンラインを前提とした場合、ネットワークの性能、信頼性などの品質がまちまちな環境での利用を要求されることになり、ゲーム性を損なわないためには、ゲーム・アプリケーション側での幅を持った対応が求められてきた。 今後、より魅力のあるゲームを提供するためには、ネットワーク技術を最適化する必要がある。

 

■活動概要

以下の3段階に分けて活動を行う。

 

(1)P2P技術を中心に、既存プロトコルや通信環境による通信品質の比較・検証を行う。
(2)比較・検証結果をもとに、既存プロトコルそのものの改良、通信環境の改良などの検討を行い、試作を実施する。
(3)試作結果の検証、および開発内容や検証結果の対外的な発表を行う。

 

2015年度においては(1)の活動を行った。

 

■検証内容

オープンなリアルタイムコミュニケーションのための標準技術であるWebRTCを検証対象とした。オンラインゲームにおいて独自に開発された従来の通信方式と比較し、WebRTCがどの程度優位性があるかを検証する。

WebRTCが特徴とするP2P通信と、サーバが仲介する通信との応答性能を検証し、WebRTCによるP2P技術の優位性の有無を検証する。

 

測定区間は、「東京-東京」「沖縄-沖縄」「東京-沖縄」で実施した。検証条件は、使用回線はdocomo、au、SoftbankのLTE環境及び光回線を利用したWiFi環境とし、また使用端末はAndroid端末とした。

検証内容は、オンラインゲームの通信を想定し、1/64秒間隔で、64バイトのデータ送信の応答時間を測定した。

 

■検証結果

独自に開発された従来の通信方式よりWebRTCのほうが、応答時間が短い結果となった。

 

LTE環境の比較結果の一例とWiFi環境での比較結果の一例を示す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果からWebRTCの場合、WiFi環境の同一アクセスポイント内で折り返し、期待通りの応答性能を得られたと推測される。

 

■測定結果の考察と今後の予定

応答時間の計測結果は、WebRTCが独自方式よりも良好な結果を示した。同様なUDPを用いた軽量実装であるにもかかわらず、差異が生じた要因を考察した。

 

□考察の観点1:通信トポロジの差異

WebRTCはクライアント〜クライアント間でデータが転送され、独自方式はクライアントからサーバを経由して他方のクライアントへデータが転送される。

 

□考察の観点2:通信経路の差異

WebRTCはThe Internetへ転送されることなく通信キャリア・プロバイダ内で完結する場合が多い。一方、独自方式においては、サーバがThe Internetに設置されている場合、データはThe Internet上のサーバで折り返す形で転送される。

東京〜東京ではほとんど差異は見られなかったが、沖縄〜東京および沖縄〜沖縄では大きな差異が見られる。これはサーバが東京側に設置されているため、一旦東京経由でデータが転送されていることを示すものと考えられる。

従って、差異は複数の通信経路が取り得る場合にIP上最短となる通信経路を選択するという、WebRTCが持つ仕組みによるものと考えられる。

 

以上より、WebRTCには、クライアント〜クライアント間通信の必要なオンラインゲーム、またはリアルタイムコミュニケーションを行うアプリケーションにおいて、独自技術に対する優位性が認められた。今後、これらの特性を活かした、技術応用や市場適用を進めていく予定である。

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