高集積サーバの導入検証
2014/08/12
■プロジェクト名
高集積サーバの導入検証
■プロジェクト期間
2014年8月~2015年10月
■プロジェクトの背景
高集積サーバはラックマウントサーバにくらべ、省スペース、省電力を実現することが可能となる。OOLでは、現在サーバとしてラックマウントサーバを利用しているが、今後テストベッドのリソース、各開発・検証で必要なサーバ台数を考慮して、高集積サーバの導入検証を実施した。
■プロジェクトの目的
SeaMicro SM15000 をテストベッドに導入し、CloudShellからトポロジーを作成して利用可能にする。
■高集積サーバ(SeaMicro SM15000)の特徴
SeaMicro SM15000(以下、本シャーシ)は、複数の省電力プロセサを搭載した極小の物理サーバ(以下、内蔵サーバ)を1筐体に集積したものであり、SeaMicro社が開発した高集積サーバであり、以下の特徴がある。
● 「消費電力量」と「機器設置スペース」という、データセンタの最重要課題を解決
● 消費電力を1/2に、スペースを1/3に帯域を10倍に
● ソフトウェアの修正を必要とせず“プラグ・アンド・プレイ”で利用可能


■検証概要
テストベッドに新リソースを追加する場合に、OpenFlow Patch panel(以下、OF-Patch)に接続する必要があり、機器によりドライバ等の開発が必要になる。まず、OF-Patchへの接続の前段階として、本シャーシを単独で利用し、仕様・動作を確認し、OF-Patchへの接続可否を判断する。
■検証内容
OpenStack 環境の構築
通常、OpenStack環境を構築するに当たり、<OpenStack Install Guide>に沿って、セットアップ手順を手動で実施する必要がある。しかし、複数サーバに対して、この方法での環境構築をした場合、構築作業に時間がかかり、また、構築作業過程において、ミスを起こしてしまう可能性が高くなる。
今回は、MAAS+jujuを使用することで、OpenStack環境の構築作業を簡易に実施できることを確認した。
※参考 <OpenStack Install Guide>
SeaMicro内部スイッチの確認
テストベッドに接続するためには、OF-Patchへ接続する必要がある。
本シャーシは、複数の内蔵サーバでネットワークを構築するためにSeaMicro内部スイッチを内蔵している。
ここでは、OpenStackの環境構築の作業を通じて、SeaMicro内部スイッチの仕様や動作を確認する。
■検証結果
① OpenStackの環境構築

OpenStackインストール左図の環境にて、MAASによるOSインストール後に、jujuを使用してOpenStackのモジュールをデプロイすることを確認できた。
しかし、各OpenStackノード間の連携完了までにコンピュートノードが起動しない等の現象を確認しており安定したOpenStackの自動構築の確認には至らなかった。
また、検証の一環として、jujuのバージョンを最新版にあげて確認を行ったが、デプロイ時点でエラーとなりデプロイすることができなかった。まだ、jujuは開発段階であることもあり、これを使用して自動構築をするには安定版のリリースを待つことが必要と考える。
② SeaMicro 内部スイッチの確認

内部スイッチ接続イメージ(1G)
本シャーシの内部スイッチはL2スイッチである。
接続イメージを左図に示す。
1Gbps(以下 1G)の物理ポートは、本シャーシに外向け8ポート、内蔵サーバ8ポートがあり、各々のポートは、内部スイッチのポートと1対1で接続されており、各ポートにはVLAN設定が可能となっている。

内部スイッチイメージ(10G)
10Gbps(以下 10G)の物理ポートは、本シャーシに外向け4ポート実装されている。
10Gポートは、VLANを設定することで複数の内蔵サーバで共有することが可能である。
上記の検証結果より本シャーシの内部スイッチ(L2スイッチ)は論理的なネットワークの分離を対象としており、一方で、OF-Patchは物理的な機器間の接続を対象としている。
したがってOF-Patchで本シャーシの内部スイッチを直接制御して、内蔵サーバの機器間接続を実現することは困難と考える。
■利用実績
・RACK デモ用環境の構築
・RACKの調査・検証用にServer 11台に環境提供
・Handson向け環境の提供
OpenStack ハンズオン環境を手軽に提供できることを目的に、今回は、対象人数Max40名に対して、Server 31台にOpenStack環境提供
■成果報告
日時:2016年2月20日(金)13:00-17:00会場:沖縄IT津梁パーク 1F プレゼンテーションルーム(沖縄県うるま市)
■今後
・OpenStackの自動構築
PXEブート(MAAS+juju、Fuel等)環境における自動構築の実現に向けた検証。
今後、テストベッドへFuelの採用が決定しているため、優先的に動作検証。
・テストベッドへの組み込み
利用者向けの環境を提供するにあたり、OF-Patchによる機器間の接続機能が重要となる。
しかし、現仕様でVLAN制御をサポートしていないOF-Patchとの連携は困難な状況であることが判明している。
OF-Patchの仕様拡張を含めた、別案の検討を進めていく必要がある。