第6回のテーマは「教育」。
スマートデバイスやインターネットの普及で様々な学びの形が登場する中においても、真に国際社会に貢献し、イノベーションを起こせる人材を育む教育のあり方には課題が多いと認識しています。
今回は、教育業界の最前線で、学校教育のみならず、民間や行政など、様々な方面から教育の課題に取り組み、ソーシャルイノベーションを起こすべく活動をされている講師をお呼びし、新たな教育像の創造とITによるイノベーションの可能性を探求していきたいと思います。
■実施概要
主 催:一般社団法人沖縄オープンラボラトリ 日 時:2015年4月23日(木)14:30-17:00 会 場:ザ・ビーチタワー沖縄 レストラン 「チュラティーダ」 参加費用:無料(事前登録制)
参加者 :25名
■プログラム
(1)教育コンサルタント/柏市議会議員 山下洋輔氏 ご講演
~~~教育の未来をデザインする~~~
産業社会の教育から知識基盤社会の教育へと変化がみられる。 20世紀初頭、教育哲学者のジョン・デューイは、子どもの個性と自発性を重んじた教育論を提示し、世界に大きな影響を与え、その考えは現代にも活かされている。当時は、理想ではあるとされつつも、実現には様々な障壁を乗り越えなければならなかった。 しかし、今、テクノロジーの進歩によって、実現可能となってきた。オンライン学習で、どこにいても、いつでも、無償で学ぶことができるよういなった。 一方で、学校や現行の教育制度のあり方が問われている。学校の意義、「学力」とは何か、教育格差、市場経済と教育、エビデンスの検証、人口減少などの議論から、つまるところ、教育や社会のあり方を考えなければならない状況である。 学校教育、教育行政、教育学研究、地域の教育活動、企業・民間の教育事業の経験から、教育の全体像を俯瞰しつつ、現場での最前線の状況もおさえた対話の場としたい。
(2)パネルディスカッション
(3)参加者を交えたディスカッション
MC/慶應大学 櫻井 智明氏
■講師
山下 洋輔(やました ようすけ) 柏市議会議員。柏まちなかカレッジ学長。教育コンサルタント。
(社)教育共創研究所代表理事。 1978年4月生まれ。早稲田大学教育学部卒。同大学院 修士課程修了後、土浦日大高校にて教諭。早稲田大学教育学研究科後期博士課程(教育思想専攻)単位取得後退学。 2009年より、柏まちなかカレッジ学長として、地域課題解決型の学び合うコミュニティを主宰。 高校教諭、教育学研究と地域活動を通して、教育は、学校だけの課題ではなく、家庭・地域・社会と学校が支え合っていくべきものと痛感。 2011年9月より、柏市議会議員として、「教育のまち」を目指し、議会からより良い教育の実現させるべく活動している。 地方議会から日本の教育をより良くするため、教育政策シンクタンクと地方議員ネットワークである(社)教育共創研究所を設立し、代表理事を務める。
■イベントレポート
講演:
日本の教育は、これまで集団での一斉授業を中心に行われてきた歴史がある。 規律や常識を効率的に学ぶには適した学びの方法であることは事実であるが、多様な人材が求められる時代においては必ずしも適した方法とは言えなくなってきた。ここでは海外の事例や、柏市で講師が取り組む活動を紹介いただき、個々に合った教育、共同でのプロジェクトを通した教育などが紹介された。
このような教育を行うにあたり、学校と教師にすべてを担わせるのは困難であり、街全体を教室とし、地域を上げて次の世代を育てる環境、場、人を含めた枠組みが必要なことを認識した。フリースクール、学童保育、ものづくりの現場、食堂、どこでも集える場所を中核にして、社会や生活、イノベーションを生み出すと言われるSTEAM(科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、Art、数学(Mathematics))など、生きた教育を地域から学ぶ場があり、学校や教師がコーディネートやファシリテートを行うという立場となる。
ICTは奇をてらったものではなく、これらの場やつながりを支え、情報へのアクセスを容易にすることを、格差を最小限におさえることをふまえつつ、目指さねばならないだろう。
Q&A
参加者にも身近な話題である教育について、ITを離れ、公教育や学校のあり方、学校や教師の現状について、質疑が行われた。 自らの家庭での教育という観点だけでなく、これからの社会を支える人材をどのように育てるのかという参加者の危機感も感じとれた。 質疑中、参加者であった、「一般社団法人STEAMおきなわ人材育成協議会」の飯塚先生(南城市大里中学校教諭)から中高生が熱く挑む「Team Okinawa」のソーラーカーレースなどSTEAM教育の取り組みについて飛び入りでご紹介をいただいた。 これぞ、ワークショップの望むべき姿でもあり、この活動を起点とした連携も始まった。